朽ちるとて光るもの

今日も、ジャンボが落ちている。

夏に差し掛かってきたころ、それは突然に私の目の前に現れた。
それからほぼ毎日、日によってチョコレート味・バニラ味が昼夜を問わずひとつ、どこかにポツンとひょっこりと、存在している。

そう、ポイ捨てである。

しかもそこは、私の家の前だ。

綺麗好きな管理人さんが毎日見つけては捨てているだろうに、きっと誰かも飽きることなく、ジャンボを食べ続けているのだ。

初めはポイ捨てされていることに憤りを感じたが、こうも毎日連続して真新しいジャンボの抜け殻を見つけると、「今日はこんなところにあったぞ!それにしても飽きないなぁ」「今日はバニラ味か~」
などと、いつの間にか落ちていないときょろきょろとしてしまう自分になっていた。

日々形を変える前衛的なオブジェにすら見えてきてしまった私は、この頻度ならポケストップに申請できるのでは、などと半分冗談、半分真面目に言うほどになった。おかしくなってしまったのだろう。

ある帰り道、もはや風景に馴染みつつあるジャンボを横目に、ふと考える。

例えば、どんなにくだらない事でも積み重ねていけばそれはあるラインを超えたその時、未だかつて誰もしたことのないものになるのではないか。

この、毎日欠かさずジャンボを食べ捨てていく人も、そうなのではないか。
そう、前人未到なのだ。
そう思えた時、草むらの陰でかさかさとしていたジャンボが、急にキラリと光ったように見えた。

ゴミひとつで私の心を動かす。あの人にわたしは、会いたい。

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